「服、脱げよ。」
 そう、なるべく甘い口調で、云う。ロイはイールフォルトの横に立って、躊躇していた。
「何だ、脱がせて欲しいのか?」
「……違ッ、、」
 ロイはまた怒ったように俺を睨み、自分の服の釦に手を掛ける。イールフォルトはその手を奪った。
「なぁ・……セックスの時はなるべく正直になった方がいいぜ。
 ……その方が、少しは可愛く見える。」
 耳元で囁いて、ロイの服を脱がしていく。服を脱がすのは好きだった。だんだんと皮を剥いていく、無防備になっていく様がたまらない。
 ゆっくりと、釦を一つずつ、外していく。
 露になった肌は白く、見た目以上に細かった。
「……貧相な躰だな、」
 思わず呟くと、直ぐに反論。
「うるさいな。……アンタはどうなんだよ、」
「じゃあ、お前が脱がしてみるか?」
 
 




















     stay-with        



        Epemere   002

























   ロイの手を取って、イールフォルトは自身の釦を外させる。
 もどかしい手つきだ。他人の服を脱がすことに慣れていない証拠だ。
 ロイがイールフォルトのワイシャツを脱がしている間に、イールフォルトはロイのズボンを剥いだ。
「ちょ……、」
 ロイがたじろいで、イールフォルトの方もズボンを脱がそうとベルトのバックルに手を掛けた。
「おっと、俺のはまだいい、」
 悉く、下手に居るのが厭な性質らしい。
 何か云いたげな瞳を余所に、イールフォルトはロイを押し倒した。騒がしい輩は、黙らすに限る。
 さっきのキスで、キスの時のロイの弱点は解っていた。
 上歯茎、に弱い。
 触れるか触れないかの感触で、口腔を蹂躙。
 甘い声が洩れるのに、そう時間は掛からなかった。
「……何だよ、もうか? キスだけで勃つなんて……、」
 恥辱に眦を赤らめそっぽを向く。
 ――思ったよりも、好みだ。
 耳、頸元、鎖骨とゆっくりと口付けを落とす。
 胸の尖りに舌を這わせれば、ぷっくりと立ち上がり、赤く色づいている。そのまま口に含んで舌で嘗め回し、歯で甘噛みする。
 ロイはひくひくと躰を震わせ、呼吸を乱している。
 乳首を弄びつつも、右手を腹から舌へと滑らせる。更に震わせた躰を裏切り、手は昂ぶる中心を避けて、腿から膝へ、膝から腿へ。それを何度か繰り返すと、ロイはもじもじと脚を動かした。
 硬くなったそれからは、既に先走りの蜜が。
「ロイ、」
 耳元で囁く。
 その息にも、感じているように、躰が揺れている。
「……どうして欲しい?」
 涙で滲んだ眦は、さっきのような威勢は消えかけ、熱を帯びるている。
「しっかりと、云ってごらん、」
 負けたくないと強がろうと、ギュッと背に回される手。
 けれども、視線と吐息は既に縋っている。
 ロイが理性を手放した瞬間を見た。
「触って……俺の、触って、」
 ついつい、口許が笑んでしまう。
 ロイは、今度は睨んでこないで稚拙なキスをしてきた。
 唇を逢わせるだけのほんの一瞬だったが、何故かイールフォルトの躰はそれで熱を持った。
 ――おいおい、子供だぜ?
「……イール、」
 懇願するような縋る瞳。
 イールフォルトは、そっと、ロイの既に硬くなっているそれに触れた。
 ビクン、とロイの躰が激しく揺れた。
「あっ、」
 柔らかく手に包み込み、軽く擦る。二三度繰り返しただけで、更に硬く高く持ち上がった。
「や……あっ、あっ、ああっ、」
 ロイは躰を反らせて、あっけなく果てた。
「オイ……早いな、」
「うるさっ……、」
 正直に感想を述べると、頬を紅潮させたロイが肩で荒く息をしていた。
「まだまだ終わらないぜ。……ロイ、脚を開け、」
 ロイは大人しくそれに従った。
 膝裏を持って両足を抱え込み、内股から腿に舌を這わせる。
 それだけで、直ぐにまたロイのが持ち上がってくる。
 舌這わせを何度か繰り返した後、ついにロイの肉棒を口に招いた。
「ああっ……、」
 ロイが歓喜の声を上げる。
 蜜を吸い、そのまま先端を強く吸い上げる。それから舌先で先端の穴を責める。
 さんざんそこを嫐った後、今度は棹の方に舌を這わせ、上下させた。
 緩急をつけて、舌と唇で。
「お前、あんまりこういうことされたことないのか?」
 息継ぎに唇を離した合間に言葉を出す。
「……な、い……、」
「へーえ、」
「悪い、かよ……、」
「いいや。……遠慮せずにどんどん出せよ。」
 今度は、根本まで深く口に含む。
 何度も先を上歯茎に当てていると、やがてロイの肉棒がピクピクと痙攣しだした。
「……イール、俺、やば……、」
「口に出していいぞ、」
 少し、可愛いなんて思っちゃったから大サービス。
「や、だ、……って、」
 必死で俺の頭を掴んで、それから離そうとするが、力では適うわけがなかった。
 ロイは、俺の口の中に白濁を発した。
 思ったよりも早かったので、準備をしていなく、白濁は口の端から洩れた。
 一回、二回と、ロイの白濁を呑み込む。
「不味い……、」
「だったら、呑むな、よ……、」
 ハァ、ハァ、と荒い呼吸。涙は眦だけに溜められずに、頬を伝っていた。
 ガックリと力を失い、しなだれるように、ロイは深く喘いだ。不健康なまでに白かった肌は、淡く色づいていた。
「ロイ、……もう終わりか、」
「も……無理、」
 声を出すのも辛いようで、声、というよりは息で応える。
「俺はまだ一回もイってないんだけど、」
 そう云うと、ロイは渾身の力で躰を起こし、俺のベルトに手を掛けた。
「……俺に、……させて……、」
 俯いて恥じらうように呟くロイに、イールフォルトは思いの外、興奮を覚えていた。